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遺族年金の男女格差

配偶者を亡くしたのが夫の場合は、妻の死亡時に夫が55歳以上になっていないと遺族年金の受給権が発生しないという地方公務員災害補償法の「男女格差規定」は違法だとする司法判断が先月、大阪地裁で示されました。
この裁判は、死亡した女性教諭の夫が原告となり遺族年金の支給を求めたものです。
1997年、女性教諭が校内暴力が原因でうつ病を発症し、翌年、自殺しました。その2年後、うつ病は「公務災害」であると認定されたため夫は遺族年金の請求を行ったところ、女性教諭の死亡時、夫は51歳であったため、不支給の決定が下されました。
亡くなったのが夫の場合は、残された妻の年齢に関係なく、妻には遺族年金が支給されます。今回の裁判では、配偶者の性別により受給権の有無が異なる扱いが合法であるかどうかが争点となりました。
そして配偶者の性別により受給権の有無が異なる扱いは合理性はなく、「男女格差規定」は違憲であるという結論となりました。
今回の裁判例は「公務災害」(いわゆる労災)についてでしたが、一般の遺族年金にも「夫が遺族年金を受け取るためには妻の死亡時に、夫は55歳以上であること」が求められています。
他にも一般の遺族年金には、男女格差規定があります。夫の死亡時に妻が受け取る遺族厚生年金には、「寡婦加算金」が付きますが、妻が死亡した時には夫の受け取る遺族年金には加算がありません。
さらに夫が死亡した場合、妻はその翌月から遺族厚生年金が支給されますが、、妻の死亡による遺族厚生年金は、夫が60歳以降でなければ受け取ることができません。
さらにさらに、国民年金制度には、死亡した夫が、国民年金に25年以上加入していた場合、残された妻には「寡婦年金」が支給されます(ただし、妻が60歳から64歳までの5年間のみ)
しかし、妻が死亡した場合は、残された夫にはそのような制度はありません。
また、「遺族基礎年金」は、母子家庭には支給されますが、父子家庭には支給されません。(来年4月から父子家庭にも支給されるように法律が改正されます)
女性の社会進出や、男性の非正規雇用の増加などにより、母(妻)の死亡により、残された父子(夫)にも手厚い生活保障が、今後まずます必要になってくるでしょう。
遺族年金の男女格差は、今後解消していくべきです。